入所(相談)事例

非審判的態度と受容の実践 〜介護の現場で感じる“人を支える姿勢”〜

こんにちは!ナゴミガーデンの前川です。
今回は介護の現場で日々感じている対人援助技術と、その中でも特に大切だと感じているバイスティックの7原則のうち

「非審判的態度」と「受容」についてお話ししたいと思います。

🌿バイスティックの7原則とは

社会福祉の基礎理論として知られる「バイスティックの7原則」は、対人援助職が利用者様やご家族と関わる上での大切な姿勢を示したものです。
その中でも「非審判的態度」と「受容」は、私たちが日々のケアの中で常に意識しておきたい基本の姿勢です。

🌿非審判的態度とは

「非審判的態度」とは援助者が自分の価値観で相手を「良い・悪い」「正しい・間違い」と判断しない姿勢のことをいいます。

介護の現場では利用者様それぞれが抱える背景や人生があります。
長い人生の中で経験されたことや、積み重ねてきた想いは一人ひとり違い、同じ状況に置かれても感じ方はさまざまです。

しかし、私たちは無意識のうちに「それは違う」「そうするべきではない」と自分の基準で判断してしまうことがあります。
その瞬間、利用者様の“心の扉”が少し閉じてしまうことを、私は現場の中で何度も感じてきました。

たとえば、ある利用者様が他の方の行動を不満そうに話されたとき、最初の頃の私は「そんなこと言わないでくださいね」とつい注意してしまったことがありました。
しかし、そのあと少し寂しそうに黙り込まれた利用者様の表情を見て「ああ、今の対応は違ったかもしれない」と気づかされました。
その方はただ“誰かに聞いてほしかった”のです。

それ以来、私はまず「そうなんですね」「そう感じられたんですね」と評価や否定をせず受け止めるようにしています。
相手の言葉の背景には孤独や不安、認めてほしいという気持ちが隠れていることが多いからです。

🌿受容とは

「受容」とは、相手を“そのまま受け止めることです。
相手の感情や考えを変えようとするのではなく「あなたはそう感じているんですね」とありのままの姿を認めることから始まります。

介護の現場では、利用者様がご自分の身体の変化や、思うように動けないことへの葛藤を口にされる場面がよくあります。
「もう迷惑ばかりかけてしまって」「私なんて何もできない」とつぶやかれたとき私たちは励ましたり慰めたりしたくなるものですが
まずは「そんなふうに感じておられるんですね」と言葉を受け止めることが大切です。

相手の気持ちを否定せず一度しっかりと受け止めることで、その方は少しずつ心を開かれます。
「この人は私の話をきちんと聞いてくれる」と感じてくださることが信頼関係の第一歩になります。

🌿現場で感じること

日々の業務の中では、忙しさや慌ただしさからつい「効率」や「正確さ」を優先してしまうことがあります。
しかし、介護は人と人との関わりの中にあります。
どれだけ技術的に完璧でも、心が伴わなければ本当の支援にはならないと感じます。

「非審判的態度」や「受容」は、教科書の中だけではなく、実際の現場で何度も試される姿勢です。
理不尽に思える言葉や行動に出会うこともあります。
そんなときこそ、自分の心の中で「今、自分は相手を裁いていないか?」と問いかけ一歩引いてみるようにしています。

そして「この方はなぜこう感じたのだろう」「どんな思いがあるのだろう」と想像してみると、自然と相手への理解が深まります。
それが“受容”につながり穏やかな関わりが生まれる瞬間だと感じます。

🌿まとめ 〜理解しようとする姿勢が信頼を生む〜

非審判的態度と受容の原則は、利用者様やご家族を「正す」ことではなく「理解しようとする」姿勢そのものです。
誹謗中傷や否定的な言葉の裏にも「誰かにわかってほしい」「自分の存在を認めてほしい」という思いが隠れています。

人は裁かれる相手には心を閉ざしますが、理解しようとしてくれる相手には心を開きます。
その小さな信頼の積み重ねが、利用者様との関係をより深く、温かいものにしていくのだと実感しています。

介護の仕事は、目の前の“できごとだけでなく、その人の人生や背景に寄り添うこと。
これからもナゴミガーデンの一員として、相手をジャッジしない目線と、受け止める心を大切にしながら、日々のケアに向き合っていきたいと思います。

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